診療放射線技師 過去問集
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診療画像検査学

診療画像検査学は、CT・MRI超音波・血管造影などの画像診断モダリティについて、その物理的原理・撮像パラメータ・造影法・アーチファクトを体系的に扱う分野である。国家試験では原理の理解に加えて、簡単な数式計算やアーチファクトの発生機序、造影剤の性質と禁忌が繰り返し問われる。

X線CT(原理・再構成・CT値)

CT は被写体の周囲からX線を照射し、多方向の投影データ(サイノグラム)から断面の線減弱係数分布を再構成する装置である。再構成にはフィルタ補正逆投影法(FBP)や逐次近似再構成が用いられる。

画素値CT値(Hounsfield値, HU) で表され、水を基準に次式で定義される。

CT値 [HU] = (μ − μ_w) / μ_w × 1000

ここで μ は組織、μ_w は水の線減弱係数。定義から水は 0 HU、空気は約 −1000 HU。μ が水の 1.1 倍なら (1.1−1)/1×1000 = 100 HU、CT値 50 HU の物質は μ/μ_w = 1.05 と式から直接計算できる。

CT値は組織の実効原子番号管電圧(実効エネルギー)に依存する。ヨウ素を含む甲状腺や造影後の血管はCT値が高く、含気する肺は最も低い。管電圧を下げたりビームハードニング補正を外すと、同一組織でもCT値が変化する。

国試ポイント: CT値の定義式は暗記必須。「水の N 倍の μ → CT値 (N−1)×1000」の換算と、比 μ/μ_w = 1 + CT値/1000 を使う計算が頻出。

CTのアーチファクト

MRI(緩和・パルスシーケンス・信号)

MRI は静磁場中の水素原子核(プロトン)に共鳴周波数のRFパルスを与え、緩和過程で放出される信号を画像化する。緩和には2種類ある。

コントラストは TR・TE の設定で決まる。短TR・短TE で T1 強調、長TR・長TE で T2 強調、長TR・短TE でプロトン密度強調となる。IR 法(反転回復)では TI を調整し、脂肪抑制(STIR)や水抑制(FLAIR)に用いる。

強調画像TRTE脂肪自由水(CSF・尿)
T1強調高信号低信号
T2強調中〜高信号高信号
プロトン密度強調中信号中信号

高速スピンエコー(FSE/TSE)は1回のTRで複数エコーを収集し撮影時間を短縮する。パラレルイメージングを併用すると位相エンコード数を減らしさらに高速化できる。

拡散強調像(DWI) は水分子のブラウン運動(拡散)を画像化し、見かけの拡散係数 ADC で定量する。b値は MPG(motion probing gradient)の強度・印加時間・間隔から決まる拡散強調の程度を表す量で、G を増大させると b値が増加する。脳梗塞急性期は細胞障害性(細胞毒性)浮腫により拡散が制限され高信号を呈する。

MRA: TOF 法は撮像面へ流入する未飽和スピンが高信号を呈する流入効果を利用し、基本シーケンスは GRE 法。乱流や渦流は位相分散を生じ信号低下の原因となる。MRCP は重T2強調で静止した胆汁・膵液を高信号に描出し、造影剤を用いず、腸管信号抑制に経口陰性造影剤を併用することがある。

国試ポイント: 緩和時間の大小は T2* < T2 < T1 が原則。DWI の高信号=拡散制限(急性期梗塞)、b値↑で拡散強調が強まる、を結び付けて覚える。

MRIのアーチファクト・安全

超音波検査(原理・ドプラ・アーチファクト)

超音波は圧電素子で発生させたパルスを送信し、音響インピーダンスの異なる境界からの反射(エコー)の往復時間と強度から断層像を得る。生体内音速は約 1530 m/s とされる。距離分解能は波長すなわち周波数で決まり、高周波ほど分解能は高いが減衰が大きく深部到達性は低下する。消化管・血管内には高周波の細径プローブが用いられる。

ドプラ法 は動く反射体による周波数偏移を利用する。血流エコーの後方散乱の主体は血液中に高濃度で存在する 赤血球 である。ドプラ偏移周波数は次の関係にある。

Δf = 2 f_0 v cosθ / c

f_0 は送信周波数、v は血流速度、θ はドプラ角(ビームと血流のなす角)、c は音速。cosθ を含むため計測血流速度はプローブの傾き(ドプラ角)に依存し、θ が 90° に近いと偏移が検出できない。パワードプラ法は信号強度を表示し高感度だが、血流の速度・方向情報は得られない。

国試ポイント: ドプラ偏移は cosθ 依存 → θ=90° で流速計測不能。後方散乱の主体は赤血球。パワードプラは速度・方向を出せない、を押さえる。

超音波のアーチファクト

造影剤と副作用

ヨード造影剤(CT・血管造影用)は水溶性で、高浸透圧の イオン性 と、それより低浸透圧の 非イオン性 に分かれる。非イオン性製剤はイオン性に比べ悪心・嘔吐・発疹などの即時型(アナフィラキシー様)副作用が少ない。重篤な甲状腺疾患は禁忌。事前のヨードテストは有用性が否定され現在は行わない。腎機能低下例では造影剤腎症に注意する。

ガドリニウム造影剤(MRI用)の細胞外液性製剤は常磁性のガドリニウムがプロトンの T1緩和時間を短縮 し、T1強調像で信号増強をもたらす。静脈内投与され血管外細胞外液腔へ拡散する。腎機能高度低下例では腎性全身性線維症(NSF)に注意する。

主要な造影剤の対比を以下にまとめる。硫酸バリウムは水に不溶な陽性造影剤で消化管を高吸収に描出し、消化管穿孔や穿孔の疑いがある場合は腹膜炎を起こすため禁忌で、水溶性ヨード造影剤(ガストログラフィンなど)に切り替える。空気・炭酸ガスは陰性造影剤として二重造影に併用する。

造影剤主な用途造影の性質主な禁忌・注意
ヨード造影剤(水溶性)CT・血管造影・尿路陽性(X線吸収↑)重篤な甲状腺疾患、造影剤アレルギー、腎機能低下(造影剤腎症)
硫酸バリウム消化管(食道〜大腸)陽性(X線吸収↑)消化管穿孔・穿孔の疑い(腹膜炎のため禁忌)
ガドリニウム造影剤MRI(T1短縮)陽性(T1WI 高信号)高度腎障害(腎性全身性線維症 NSF)
空気・炭酸ガス消化管・注腸の二重造影陰性(X線吸収↓)

国試ポイント: 非イオン性ヨード造影剤=低浸透圧・即時型副作用少・甲状腺疾患禁忌。ガドリニウムは T1 短縮効果で T1WI を増強、を対で覚える。硫酸バリウムは消化管穿孔(疑い含む)で禁忌、水溶性ヨード造影剤に変更、も頻出。

血管造影・IVR・その他の検査

血管造影はカテーテルから造影剤を注入し血管をX線撮影する検査で、DSA(デジタルサブトラクション血管造影)はマスク像を差分し骨・軟部を除去する。IVR(画像下治療)では塞栓術・血管拡張術などを画像誘導下で行う。

骨塩定量(骨密度): DXA(二重エネルギーX線吸収測定)法は腰椎・大腿骨頸部を測定する標準法。QUS(定量的超音波)は踵骨、DIP 法は手の第2中手骨を測定部位とする。造影CTでは下垂体・脈絡叢など血液脳関門を欠く正常構造が増強される。

頻出ポイント

国試での出題(年度別)

この科目はデータのある年度で計 277 問。番号をタップで問題へ。解いた記録は緑/赤の枠で残り、右上の青点は解説ありです。

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