診療放射線技師 過去問集
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放射線計測学

放射線に関する量と単位、検出器の原理と使い分け、計数の統計、標準計測法による線量計測までを扱う科目である。

放射線に関する量と単位

国試ポイント: 量と単位・対象放射線の組合せが頻出。「照射線量は光子のみ」「カーマは間接電離放射線」「阻止能は荷電粒子」の対応を確実に。

荷電粒子平衡と空洞理論

光子入射後、二次電子フルエンスは深さとともに増加し(ビルドアップ領域)、やがて荷電粒子平衡が成立する。平衡下では吸収線量は衝突カーマに等しい。制動放射のエネルギーはカーマに含まれるが吸収線量には寄与しない。

Bragg-Gray の空洞理論は、媒質中の小さな空洞の電離電荷から媒質の吸収線量を求める理論である。

国試ポイント: 変換に用いるのは「質量衝突阻止能比」であり、質量エネルギー吸収係数比ではない点が問われる。

気体検出器

印加電圧の上昇に伴い、再結合 → 電離箱比例計数管 → GM計数管の順に動作領域が変わる。ガス増幅(電子なだれ)が始まるのは比例計数管領域からである。

図: 気体検出器の印加電圧特性曲線。左から再結合領域→電離箱領域→比例領域→制限比例領域→GM領域→連続放電領域。電離箱領域と比例領域では初期電離の大きいα線が小さいβ線より上にあり波高がエネルギーに依存するが、GM領域では両者が一致し初期電離によらず一定となる。
図: 気体検出器の印加電圧特性曲線。左から再結合領域→電離箱領域→比例領域→制限比例領域→GM領域→連続放電領域。電離箱領域と比例領域では初期電離の大きいα線が小さいβ線より上にあり波高がエネルギーに依存するが、GM領域では両者が一致し初期電離によらず一定となる。

国試ポイント: GM計数管の絶対測定に必要な補正は幾何学的効率・自己吸収・数え落とし・後方散乱で、イオン再結合補正は不要(電離箱の補正)。

シンチレーション検出器と半導体検出器

国試ポイント: Ge と NaI(Tl) の比較は分解能・感度・冷却の3点で問われる。分解能は Ge、感度は NaI が優れる。

検出器検出媒体・原理エネルギー分解能主な用途・特徴
電離箱気体・ガス増幅なしでイオン対を収集波高が小さくスペクトルには不向き線量測定の標準器・半価層測定・温度気圧補正が必要
比例計数管気体・ガス増幅で波高がエネルギーに比例中程度α/β弁別・BF₃/³He封入で中性子検出
GM計数管気体・全電離で波高がエネルギーに依存しないなし(弁別不可)γ線サーベイ・表面汚染検査・分解時間による数え落とし
シンチレーション検出器(NaI(Tl))発光を光電子増倍管で検出中程度(半導体より劣る)γ線測定・感度が高い・潮解性
半導体検出器(高純度Ge)固体中の電子・正孔対を直接収集非常に高い(最良)γ線スペクトロメトリ・冷却が必要・感度はNaI(Tl)に劣る

積算型線量計・個人被ばく線量計

その場で直接読み取れるのは電子式ポケット線量計である。Sn や Al のフィルタの併用はエネルギー依存性の補正が目的。個人線量当量の校正には ICRU スラブファントムを用いる。

国試ポイント: 「発光を利用する検出器」「光電子増倍管を用いる検出器」(OSL・蛍光ガラス・シンチレータ)の弁別が定番。

計数の統計

放射線の計数値はポアソン分布に従い、計数値 N の標準偏差は σ = √N で与えられる。

国試ポイント: √N の計算問題が頻出。正味計数率では測定時間の違いを分散に反映させる点に注意。

標準計測法による水吸収線量計測

60Co γ線で水吸収線量校正定数の値付けを受けた電離箱に、線質変換係数 kQ(線質による感度変化の補正)を乗じて水吸収線量を求める。

国試ポイント: kTP は温度に比例・気圧に反比例。読み間違いが過大・過小どちらに働くか整理しておく。

頻出ポイント

電離箱の種類

検出器の使い分け

検出器主な特徴
比例計数管パルス波高が一次電離量に比例。粒子識別に利用
GM計数管大きな一定パルス。エネルギー測定には不向き
NaI(Tl)高い発光効率。γ線スペクトロメトリ
BGO高密度・高原子番号。発光量はNaI(Tl)より小さい
HPGe優れたエネルギー分解能。冷却が必要
Si検出器荷電粒子・低エネルギーX線など
BF3・3He比例計数管熱中性子検出
レムカウンタ減速材と中性子検出器で線量当量を測る
CR-39中性子・重荷電粒子による飛跡を化学エッチングで観察
MOSFET小型で体内・体表線量測定に利用

γ線スペクトル

その他の線量計

計数統計

国試画像・図表

この科目の画像・グラフ・表を使う問題を全て掲載しています(画像・グラフ・図表 6問)。図が複数ページに分かれている問題も省略していません。画像はタップで拡大できます。正答は最初は隠してあり、「正答と見分け方」を開くと学習用のWebP図と全選択肢を確認できます。
画像・グラフ・図表(6問)
第78回 午前72画像・図表
第78回 午前72 画像選択肢
画像選択肢

GM 計数管の出力電圧と時間の関係を図に示す。 図の説明で正しいのはどれか。

正答と見分け方

正答:5

第78回 午前72の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

図はGM計数管のパルス波形で、波高弁別レベルを超えたパルスを1個として計数する。A は不感時間(分解時間)、B は回復時間を示す。

  1. B は分解時間である。
  2. A が短いほど数え落としが多くなる。
  3. 図から β 線のエネルギーを取得できる。
  4. 出力電圧の高さは放射能の強さに比例する。
  5. 波高弁別レベルを超えたパルスの数を計数する。
この問題を解く →
第78回 午後72画像・図表
第78回 午後72 画像選択肢
画像選択肢

各種放射線における水中での深部量百分率の模式図を示す。 正しい組合せはどれか。

正答と見分け方

正答:5

第78回 午後72の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

オは入射線量が低く深部に鋭いBragg peakを示す曲線で炭素線に一致する。

  1. ア電子線
  2. イ陽子線
  3. ウ X 線
  4. エ中性子線
  5. オ炭素線
この問題を解く →
第77回 午後72画像・図表
第77回 午後72 画像選択肢
画像選択肢

60 Co γ 線のエネルギースペクトル測定の結果を図に示す。 エスケープピークはどれか。

正答と見分け方

正答:1

第77回 午後72の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

60Coのγスペクトルでは、イとウがそれぞれ1.17 MeV・1.33 MeVの全エネルギー(光電)ピーク、オが両者の和(約2.5 MeV)のサムピークである。アは約0.82 MeVにあり、1.33 MeVピークから511 keV低い位置に相当する対生成のシングルエスケープピークである。正答は1。

この問題を解く →
第76回 午前80画像・図表
第76回 午前80 画像選択肢
画像選択肢

下図に示す放射線のエネルギーピークの FWHM はどれか。

正答と見分け方

正答:4

第76回 午前80の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

ピーク最大計数(全高b)の半分の高さ(e)における波形の全幅がFWHMで、その水平方向の矢印がd。

  1. a
  2. b
  3. c
  4. d
  5. e
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第76回 午前81画像・図表
第76回 午前81 画像選択肢
画像選択肢

指頭形電離箱を用いて X 線の照射線量を測定するとき空気等価壁の壁厚と収集電荷量の関係で正しいのはどれか。

正答と見分け方

正答:4

第76回 午前81の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

壁厚を増すと、初めは二次電子平衡(ビルドアップ)に達するまで収集電荷量が増加する。平衡到達後はさらに壁を厚くすると壁による一次X線の減弱が効いて電荷量が緩やかに減少する。よって上昇してピークをとった後に漸減する曲線が正しい。

  1. 上の画像選択肢を参照
  2. 上の画像選択肢を参照
  3. 上の画像選択肢を参照
  4. 上の画像選択肢を参照
  5. 上の画像選択肢を参照
この問題を解く →
第73回 午前78画像・図表
第73回 午前78 画像選択肢
画像選択肢

微小容積 V 内で下図のようなコンプトン散乱が発生した。 カーマと吸収線量の組合せで正しいのはどれか。 ただし、制動放射線は無視する。 カーマ吸収線量

正答と見分け方

正答:2

第73回 午前78の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

カーマは光子が微小容積V内で二次電子に与えた運動エネルギー(電子の初期運動エネルギーT0)に対応する。吸収線量はV内に実際に付与されたエネルギーで、反跳電子は運動エネルギーT1をVの外へ持ち出すため、V内付与分はT0−T1となる(制動放射は無視)。

  1. E1 T0
  2. T0 T0 − T1
  3. T1 T1
  4. E0 − T1 E0 − E1
  5. E0 − E1 T0 − T1 − E1
この問題を解く →

国試での出題(年度別)

この科目はデータのある年度で計 105 問。番号をタップで問題へ。解いた記録は緑/赤の枠で残り、右上の青点は解説ありです。

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