診療放射線技師 過去問集
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基礎医学大要

診療放射線技師国家試験の基礎医学大要では、解剖・生理を土台に、組織・細胞、内分泌、病理・腫瘍、免疫・感染症、代表的疾患と救急、公衆衛生・法規までが問われる。正常構造と病態を正確に押さえ、「なぜそうなるか」を掴むことが得点につながる。

1. 解剖学(骨格・神経・脈管)

人体の位置は基準面で表す。矢状断面は体を左右に、水平面は上下に、前頭(冠状)面は前後に分ける。解剖学的正位では手掌が前を向くため「手掌は前面」が正しい。

面・方向用語分ける向き・意味
矢状(断)面体を左右に分ける(正中矢状面が正中を通る)
前頭(冠状)面体を前後に分ける
水平(横断)面体を上下に分ける(CTの体軸横断像)
頭側 / 尾側頭の方 / 足(尾)の方
内側 / 外側正中に近い方 / 正中から遠い方
腹側(前) / 背側(後)腹の方 / 背の方

骨は長骨・短骨・扁平骨(頭蓋骨・胸骨・肋骨・腸骨など)・不規則骨に分類され、扁平骨や腸骨は赤色骨髄に富み造血とカルシウム貯蔵を担う。手根骨は8個で近位列(舟状骨月状骨・三角骨・豆状骨)と遠位列(大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鈎骨)、最も母指側は大菱形骨。成人の骨髄穿刺は腸骨で行う。

中枢神経系は大脳・間脳・脳幹(中脳・橋・延髄)・小脳・脊髄。黒質は中脳、線条体(被殻+尾状核)は大脳基底核、後頭葉に視覚野。脳神経は12対で、下顎神経(三叉神経第3枝)は卵円孔、手根管は正中神経が通過する。心臓は4腔で右房室間は三尖弁、左は僧帽弁。肺動脈は静脈血を、肺静脈は動脈血を運ぶ例外関係にあり、胎児期の動脈管は肺動脈と大動脈を交通させ出生後に閉鎖する。胸管は全身(右上半身以外)のリンパを集め左静脈角に注ぐ。

肺(ガス交換) 右心 右房 右室 左心 左房 左室 全身(組織) 肺動脈 肺静脈 大動脈 大静脈 ■動脈血 ■静脈血
図: 体循環と肺循環。右心系→肺動脈(静脈血・青)→肺でガス交換→肺静脈(動脈血・赤)→左心系→大動脈で全身へ。肺動脈だけが静脈血、肺静脈だけが動脈血を運ぶ。

国試ポイント: 断面用語、扁平骨・手根骨、頭蓋底の孔と通過神経、三尖弁の位置、胸管の走行は必出。

2. 解剖学(消化器・泌尿生殖器・後腹膜)

後腹膜臓器は腎臓・副腎・膵臓・十二指腸(下行脚など)・上行結腸・下行結腸で、前面のみ腹膜に覆われる。胃・脾臓・胆嚢・横行結腸は腹膜内臓器。腹腔で最も尾側はダグラス窩(直腸に隣接)。

3. 組織学・細胞・生理

上皮は皮膚と食道が重層扁平上皮、胃・小腸・大腸は単層円柱上皮、気管・気管支は多列線毛円柱上皮、膀胱・尿管は移行上皮。筋組織は骨格筋(横紋・随意)、心筋(横紋・不随意)、平滑筋(非横紋・不随意)に分かれ、胃・子宮は平滑筋。筋原線維はアクチンとミオシンの滑走で収縮する。ミトコンドリアはATP産生、リソソームは分解を担う(細胞壁はヒト細胞になし)。減数分裂は精巣・卵巣でのみ起こる。主要4大元素は酸素・炭素・水素・窒素、成人体重の約60%が水分。

生理では肺胞のガス交換は拡散による。右主気管支は太く短く垂直に近いため異物が右へ入りやすく、左肺にはS7がない(8区域)。血液pHは約7.4、赤血球寿命は約120日、血小板は巨核球から産生され、赤血球産生には鉄・ビタミンB12を要する。心電図のP波は心房、QRS波は心室の興奮を示す。副交感神経の興奮は心拍数を減少させる。

組織・細胞の放射線感受性ベルゴニー・トリボンドーの法則に従い、細胞分裂が盛んで未分化なものほど高い。造血・生殖・腸上皮などの再生系が高感受性、神経・筋・骨などの非分裂系は低感受性である。

放射線感受性組織・細胞の例
高いリンパ球、造血骨髄(幼若血球)、生殖腺(精原細胞・卵母細胞)、腸上皮(陰窩細胞)
中間皮膚(表皮基底層)、血管内皮、水晶体
低い神経細胞、筋(骨格筋・心筋)、骨・軟骨(成熟)

国試ポイント: 重層扁平=皮膚・食道、横紋筋=骨格筋+心筋、ガス交換=拡散、血液pH 7.4、赤血球寿命120日。放射線感受性はリンパ球が最も高く、神経・筋が低い(ベルゴニー・トリボンドーの法則)。

4. 内分泌学

下垂体前葉は成長ホルモンTSH・ACTHを分泌し、視交叉に近接するため腫瘍は両耳側半盲を来す。副腎は皮質(コルチゾール・アルドステロン・性ホルモン)と髄質(アドレナリン・ノルアドレナリン)を産生。膵島はインスリン・グルカゴン、腎臓はレニン・エリスロポエチンを分泌。カルシウム代謝は甲状腺のカルシトニンと副甲状腺のPTHが拮抗して調節する。

バセドウではFT3・FT4が過剰となり負のフィードバックでTSHが低下し甲状腺がびまん性腫大する。橋本病は機能低下症、クッシング病は下垂体のACTH過剰でコルチゾールが過剰となり、下垂体異常では尿崩症・先端巨大症も起こる。

5. 病理学・腫瘍学

急性炎症では発赤・腫脹・熱感・疼痛が生じ、早期に好中球が浸潤し滲出液・膿瘍を形成する。悪性腫瘍は浸潤・転移能を特徴とし、UICCのTNM分類はT(原発)・N(所属リンパ節)・M(遠隔転移)で病期を表す(pTNMは術後の病理組織学的分類)。

国試ポイント: TNMの3要素とpTNM、HPV=子宮頸癌・中咽頭癌、肝癌の背景=肝硬変、転移性脳腫瘍の原発=肺癌。

6. 免疫・感染症

免疫は自然免疫(好中球・マクロファージ・NK細胞)と獲得免疫(T細胞・B細胞)に大別される。細胞性免疫(T細胞)は移植拒絶やウイルス防御を、液性免疫(B細胞→抗体)を担う。単球とリンパ球は無顆粒球。I型(即時型)アレルギーはIgE・ヒスタミンが関与し、アナフィラキシー第一選択薬はアドレナリンである。

7. 臨床医学(代表的疾患)・救急処置

救急では反応・呼吸を確認し、反応がなければ直ちに応援要請・緊急コールを行い、必要なら胸骨圧迫(胸骨下半分、100〜120回/分)を開始する。ショックでは血圧低下・頻脈・皮膚蒼白・冷汗が典型。造影剤アナフィラキシーへのアドレナリンは大腿部への筋注が適する。

国試ポイント: 先天性心疾患最多=心室中隔欠損症、食道静脈瘤=肝硬変、救命は反応確認→応援要請→胸骨圧迫の順。

8. 公衆衛生・疫学、医療関係法規・医療安全

疫学は個人でなく人間集団を対象とする。予防医学は一次予防(発症予防:生活習慣改善・ワクチン)・二次予防(早期発見・治療:がん検診)・三次予防(社会復帰)に分かれる。日本人の死因第1位は悪性新生物で心疾患・老衰が続き、高齢化により65歳以上人口割合は増加傾向にある。ICDは疾病の国際統計分類で国際比較に用いる。

診療放射線技師法では医師の指示のもとで行える業務範囲が規定される。造影剤注入装置の操作・接続や投与のための静脈路確保、照射録作成、読影の補助、MRI核医学検査の実施は認められるが、単独判断での診断や範囲外の処置はできず、守秘義務は退職後も続く。医療機器安全管理責任者の配置は医療法が定め、薬機法は医療機器をリスクでクラス分類する。医療安全では、誤操作が構造的に起こらないフールプルーフ、異常時に安全側へ移行するフェイルセーフを区別し、ヒヤリハット(未然)とアクシデント(実害)も区別する。

国試ポイント: 疫学=集団が対象、予防の三段階、死因1位=悪性新生物、技師の法定業務の境界を押さえる。

頻出ポイント

国試での出題(年度別)

この科目はデータのある年度で計 266 問。番号をタップで問題へ。解いた記録は緑/赤の枠で残り、右上の青点は解説ありです。

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