診療放射線技師 過去問集
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X線撮影技術学

X線撮影技術学は、撮影条件、幾何学的因子、散乱線対策、各部位のポジショニングと基準線、造影検査、乳房撮影、患者被ばく低減を扱う。国試では距離則・拡大率グリッドの計算問題と、写真・体位から撮影法や解剖・所見を読む問題が多く出る。

撮影条件と写真効果

写真濃度(受像面線量)は管電流時間積(mAs値)に比例し、線源受像器間距離(SID)の2乗に反比例する(距離逆二乗則)。SID変更後も同一濃度を得るには次式でmAsを再設定。

管電圧(kV)は主に画像コントラストを支配する。管電圧を下げると光電効果の寄与が増え、組織間の吸収差(被写体コントラスト)が強調されコントラストが向上する。逆に高圧撮影は骨陰影を軟調化し、骨と重なった病巣を観察しやすくする目的で胸部撮影に用いる。被写体コントラストには管電圧のほか整流方式も関与する。異なる線減弱係数の組織が重なり陰影が変化する現象を重積効果という。

国試ポイント: 「濃度はmAsとSIDの2乗」「コントラストは主にkV」の役割分担を混同しない。高圧撮影の目的は骨陰影の軟調化であり被ばく低減ではない。

主な撮影因子を1つだけ変えたときの影響を整理すると次のようになる(他条件は一定とする)。

撮影因子(単独で増加)写真濃度(信号)画像コントラスト散乱線量患者被ばく
管電圧 kV を上げる増加低下(軟調化)増加減少
管電流時間積 mAs を上げる増加ほぼ不変増加増加
線源受像器間距離 SID を延ばす低下(距離の2乗に反比例)ほぼ不変ほぼ不変減少
グリッドを使用する低下(露出倍数分の増条件が必要)向上減少増加

管電圧は濃度とコントラストの両方に効き、上げると光子が受像面に多く届くため濃度が増える一方で組織間の吸収差が縮まりコントラストは低下する。同一濃度を保つには他因子で補正するため、単独増加時の被ばく方向は補正前の入射線量の増減で示している。

幾何学的因子(拡大率・半影)

焦点被写体間距離をa、被写体受像器間距離をbとすると、拡大率Mと半影(幾何学的不鋭)Ugは次式で表される。

半影を一定に保つ条件では拡大率に最も影響するのは焦点サイズで、焦点が小さいほど許容半影内で大きな拡大率を選べる(例:f=0.1mm・許容半影0.2mmならM-1=2で最大拡大率3.0倍)。bを小さくするほど拡大率・半影は小さくなる。

焦点 被写体 受像面 f 像(M倍) Ug a(焦点–被写体) b(被写体–受像面)
図: 幾何学的拡大と半影(ボケ)。有限の大きさをもつ焦点(高さf)から出た線が被写体の縁を通り受像面に達する。被写体の像は中心線でM=(a+b)/a倍に拡大され、焦点が点でないため各縁は半影Ug=f×(M−1)の幅でぼける。図はa:b=4:3(M=1.75)で作図。

国試ポイント: 拡大率と半影の式は頻出計算問題。a・b・fの代入と単位換算に注意する。

散乱線対策(グリッド)

グリッドは散乱線を吸収しコントラストを向上させる装置である。主な物理的性能評価項目は次の通り。

焦点 散乱点 h 一次線(通過) 散乱線(吸収)
図: 集束グリッドの幾何。鉛箔は焦点に向けて少しずつ傾いており、焦点から来る一次線は箔の間を通り抜ける(青)。被写体で発生した斜め方向の散乱線(赤)は箔に当たって吸収される。中央の箔は垂直で、外側ほど傾きが大きい。グリッド比は鉛箔の高さhと間隔Dの比h/Dで、比が大きいほど斜入線をよく除去する。

グリッドを用いるとコントラストは向上するが、撮影条件を上げる必要があり被ばくは増加方向に働く。被写体と検出器の間に空気層を設けるエアギャップ法はグリッドなしで散乱線を軽減する代替手段だが、距離が延びるため像は拡大する。

各部位の撮影法とポジショニング

部位ごとに基準線・基準点、撮影方向(正面・側面・斜位)と固有の撮影法名が定められている。写真・体位図から撮影法・観察部位・解剖名を問う出題が多い。

国試ポイント: 撮影法名(Waters/Schüller/Lauenstein等)と観察目的・基準線を結び付けて覚える。写真・体位図問題で配点が集まる領域である。

特殊撮影(トモシンセシス・歯科・眼底)

造影検査

投与経路・目的に応じた造影剤・体位・撮影法を用いる。

国試ポイント: 「何を・どの経路で・どの体位で」観察するかをセットで押さえる。穿孔疑い時の硫酸バリウム注腸は禁忌。

乳房撮影(マンモグラフィ)

乳房は軟部組織主体で薄い被写体のため、一般撮影で最も低い管電圧を用い高コントラストを重視する。撮影方向にMLO(内外斜位)とCC(頭尾)があり、MLOはCCよりブラインドエリアが小さい。MLOでは乳房支持台を大胸筋外側と平行にし、非検側乳房を照射野に入れない。入射線量は乳頭側ほど少ない。

被ばく低減にはフィルタ材質の選択が重要で、モリブデンからロジウムへ変更すると線質が硬化し、厚い乳房でも画質を保ちつつ線量を抑えられる。管電圧を下げる・格子比を上げる操作は画質維持のため線量増加を招き被ばく低減にはつながらない。

被ばく低減

被ばく低減に直接寄与するのは入射線量そのものを減らす手段である。

一方、焦点サイズの選択や仮想グリッド・ノイズ除去などの画像処理は入射線量を変えないため被ばく低減に直接寄与しない。「入射線量を減らす手段」か「画質・分解能に関わる手段」かを切り分けると正誤判定がしやすい。

頻出ポイント

国試での出題(年度別)

この科目はデータのある年度で計 109 問。番号をタップで問題へ。解いた記録は緑/赤の枠で残り、右上の青点は解説ありです。

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