診療放射線技師 過去問集
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放射線物理学

原子・原子核の構造から、放射性壊変、光子・荷電粒子中性子と物質の相互作用、X線の発生までを扱う。放射線技術のすべての基礎となる科目である。

原子・原子核の構造

国試ポイント: 結合エネルギー曲線の最大(鉄付近)、核異性体の定義、静止エネルギーの大小比較(α粒子 > 陽子 > 電子)が問われる。

放射性壊変

国試ポイント: 「ニュートリノを放出する壊変(β+とEC)」「線スペクトルを示すもの(α線・γ線・内部転換電子・オージェ電子)」「1/10になる時間からの半減期計算」が定番。

放射線の種類と光子

国試ポイント: 直接/間接電離放射線の分類と、光子の性質(質量なし・電荷なし・運動量あり)は毎年のように問われる。

光子と物質の相互作用・減弱

国試ポイント: 三大相互作用の優勢領域(エネルギーと原子番号の関係)、コンプトン散乱後の波長の伸び、1.022 MeVのしきい値、μと密度・原子数からの減弱計算が頻出。

三大相互作用の特徴を対比すると次のようになる。

相互作用エネルギー依存(優勢な領域)原子番号 Z 依存しきいエネルギー主な生成物
光電効果低エネルギーで優勢強く依存(およそ Z⁴〜Z⁵)なし光電子・特性X線/オージェ電子
コンプトン散乱中間エネルギーで優勢ほぼ依存しない(電子数∝Z)なし反跳電子・散乱光子
電子対生成高エネルギーで優勢強く依存(およそ Z²)1.022 MeV電子・陽電子(消滅放射線)
図: 三大相互作用の優勢領域。横軸は光子エネルギー(対数)、縦軸は物質の原子番号 Z。青線(光電効果=コンプトン散乱が等しくなる境界)より左下で光電効果、右方でコンプトン散乱、緑線より右上(1.022 MeV 以上)で電子対生成が優勢となる。境界は光電∝Z⁴〜⁵/コンプトン∝Z、電子対∝Z² の依存性に沿う概念図。
図: 三大相互作用の優勢領域。横軸は光子エネルギー(対数)、縦軸は物質の原子番号 Z。青線(光電効果=コンプトン散乱が等しくなる境界)より左下で光電効果、右方でコンプトン散乱、緑線より右上(1.022 MeV 以上)で電子対生成が優勢となる。境界は光電∝Z⁴〜⁵/コンプトン∝Z、電子対∝Z² の依存性に沿う概念図。

単一エネルギー(単色)の光子を細いビームで物質に入射させると、透過強度 I は厚さ x に対して I = I₀ e^(−μx) で減少する。縦軸を対数にとると直線になり、強度が半分になる厚さが半価層 HVL = ln2 / μ である。厚さが 1 HVL 増えるごとに強度は 1/2 になる。

図: 単一エネルギー光子の指数減弱曲線 I=I₀e^(−μx)。縦軸(相対線量率 I/I₀)を対数にとると直線になる。厚さが半価層(HVL)1つ分で強度は 1/2、2つ分で 1/4 と半減を繰り返す。赤い破線は最初の半価層を示す。
図: 単一エネルギー光子の指数減弱曲線 I=I₀e^(−μx)。縦軸(相対線量率 I/I₀)を対数にとると直線になる。厚さが半価層(HVL)1つ分で強度は 1/2、2つ分で 1/4 と半減を繰り返す。赤い破線は最初の半価層を示す。

荷電粒子と物質の相互作用・阻止能

国試ポイント: 「質量衝突阻止能は電荷の2乗に比例・エネルギーに反比例」を使った粒子間の大小比較(同エネルギーならα線は陽子線の約4倍など)が繰り返し問われる。

X線の発生

国試ポイント: スペクトル図の読み取り(連続成分・特性X線・最大エネルギー・フィルタの効果)と、全強度の「管電圧の2乗・原子番号・管電流に比例」が最頻出。

中性子と物質の相互作用

国試ポイント: 熱中性子のエネルギー(約0.025 eV)、(n, γ)・(n, α)・(n, p)反応での原子番号・質量数の変化が問われる。

頻出ポイント

基本量・原子核・素粒子

荷電粒子の相互作用

光子相互作用の補足

相互作用主な特徴
光電効果光子が全エネルギーを軌道電子へ与える。吸収端を生じる
Compton散乱外殻電子との非弾性散乱。電子密度への依存が大きい
電子対生成核近傍で電子・陽電子対を生成。しきいエネルギー1.022 MeV
三重項生成軌道電子近傍で対生成し、反跳電子を含む3粒子となる
光核反応光子を吸収した原子核から中性子などが放出される
Rayleigh散乱原子全体との弾性散乱。光子エネルギーはほぼ変化しない

X線発生

中性子・核分裂

国試画像・図表

この科目の画像・グラフ・表を使う問題を全て掲載しています(病態・疾患の画像 1問・画像・グラフ・図表 9問)。図が複数ページに分かれている問題も省略していません。画像はタップで拡大できます。正答は最初は隠してあり、「正答と見分け方」を開くと学習用のWebP図と全選択肢を確認できます。
病態・疾患の画像(1問)
第78回 午後62病態・疾患
第78回 午後62 画像選択肢
画像選択肢

光子の水に対する質量減弱係数(A)と質量エネルギー転移係数(B)のエネルギー依存性を図に示す。 水中で 1 MeV 光子がコンプトン反跳電子に付与する平均エネルギー[MeV]に最も近いのはどれか。

正答と見分け方

正答:3

第78回 午後62の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

図でAは質量減弱係数、Bは質量エネルギー転移係数で、1MeVでA≒0.07、B≒0.03と読める。コンプトン反跳電子への平均付与エネルギーは1MeV×(B/A)=1×(0.03/0.07)≒0.43MeVとなる。

  1. 0.24
  2. 0.31
  3. 0.43
  4. 0.52
  5. 0.67
この問題を解く →
画像・グラフ・図表(9問)
第76回 午前72画像・図表
第76回 午前72 画像選択肢
画像選択肢

陽子線の水に対する質量阻止能とエネルギーとの関係を図に示す。 10 MeV 重陽子線の水に対する質量阻止能[MeV・cm²・g⁻¹]に最も近いのはどれか。

正答と見分け方

正答:4

第76回 午前72の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

グラフは陽子(z=1)の曲線。10 MeV重陽子は質量が陽子の約2倍で、同速度となる陽子は5 MeV。曲線の5 MeVを読むと質量阻止能は約80 MeV・cm²・g⁻¹である。

  1. 20
  2. 30
  3. 50
  4. 80
  5. 100
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第75回 午前71画像・図表
第75回 午前71 画像選択肢
画像選択肢

X 線管から発生したエネルギースペクトルを図に示す。 正しいのはどれか。

正答と見分け方

正答:4

第75回 午前71の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

連続X線は約80keVで途切れ(管電圧≈80kV)、58〜69keVに鋭い線スペクトルがある。Kα約59keV・Kβ約67keVはタングステンのK特性X線。

  1. 管電圧は 100 kV である。
  2. 付加フィルタの吸収端が観察される。
  3. K 特性 X 線と L 特性 X 線が観察される。
  4. タングステンターゲットから発生した X 線である。
  5. 連続スペクトルより線スペクトルの発生した割合が多い。
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第75回 午後71画像・図表
第75回 午後71 画像選択肢
画像選択肢

電子エネルギーに対する水の質量阻止能の関係を図に示す。 5 MeV 電子が水 1 cm を通過するときのエネルギー損失 [MeV]に最も近いのはどれか。

正答と見分け方

正答:4

第75回 午後71の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

5MeVで全質量阻止能(実線)は約2MeV·cm²/g。水は密度1g/cm³なので線阻止能2MeV/cm、1cm通過で約2MeV損失。

  1. 0.1
  2. 0.5
  3. 1.0
  4. 2.0
  5. 4.0
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第74回 午後72画像・図表
第74回 午後72 画像選択肢
画像選択肢

水における光子エネルギーと相互作用ごとの質量減弱係数の関係を図に示す。 A の相互作用で正しいのはどれか。 ただし、実線は全質量減弱係数とする。

正答と見分け方

正答:1

第74回 午後72の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

Aは低エネルギーで急勾配(∝E⁻³)に減少する曲線=光電効果(平坦部はコンプトン,点線は干渉性散乱)。

  1. 光電効果
  2. 光核反応
  3. 干渉性散乱
  4. 電子対生成
  5. ComptonHコンプトンJ散乱
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第72回 午前72画像・図表
第72回 午前72 画像選択肢
画像選択肢

診断領域 X 線のエネルギースペクトルを図に示す。 正しいのはどれか。

正答と見分け方

正答:4

第72回 午前72の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

X線スペクトルのAとBは最大エネルギー(約95keV)も特性X線ピーク(58・66keV)も一致し、同じ管電圧・同じターゲット(タングステン)。Bは低エネルギー成分が減って硬化した=Aを濾過した形。

  1. A の管電圧は 60 kV である。
  2. A と B のターゲットは異なる。
  3. A と B の出力線量は同じである。
  4. A にフィルタを付加すると B の形状に近づく。
  5. A と B に L 殻への遷移による特性 X 線が認められる。
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第71回 午後73画像・図表
第71回 午後73 画像選択肢
画像選択肢

ある物質の光子エネルギーに対する質量減弱係数の関係を図に示す。 この物質はどれか。

正答と見分け方

正答:3

第71回 午後73の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

質量減弱係数の光子エネルギー依存を両対数で示す。約33 keVにK吸収端があり、これはヨウ素(K端33.2 keV)に一致する。

  1. Al
  2. Cu
  3. I
  4. Mo
  5. Pb
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第70回 午前72画像・図表
第70回 午前72 画像選択肢
画像選択肢

同一管電圧で得られた2つの X 線エネルギースペクトルを図に示す。 正しいのはどれか。

正答と見分け方

正答:5

第70回 午前72の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認
  1. A と B は管電圧 40 kV のものである。
  2. B はロジウム付加フィルタを使用したものである。
  3. A はモリブデン付加フィルタを使用したものである。
  4. A と B はタングステンターゲットを使用したものである。
  5. A と B には K 殻への遷移による特性 X 線が認められる。
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第70回 午前73画像・図表
第70回 午前73 画像選択肢
画像選択肢

電子エネルギーに対するある物質の質量放射阻止能と質量衝突阻止能の関係を図に示す。 ある物質はどれか。

正答と見分け方

正答:2

第70回 午前73の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認

質量衝突阻止能(実線)と質量放射阻止能(破線)が交わる=両者が等しくなる臨界エネルギーは約25MeV。臨界エネルギーEc≈800/Zよりz≈29で銅(Cu)。

  1. 13Al
  2. 29Cu
  3. 42Mo
  4. 74W
  5. 82Pb
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第70回 午後72画像・図表
第70回 午後72 画像選択肢
画像選択肢

光子エネルギーに対する水の質量減弱係数の関係を図に示す。 0.45 MeV の細い光子ビームが厚さ 10 cm の水を通過したときの一次線透過率に最も近いのはどれか。 ただし、e = 2.7 とする。

正答と見分け方

正答:2

第70回 午後72の画像と見分け方
元の問題図と見分け方を1枚で確認
  1. 0.10
  2. 0.37
  3. 0.50
  4. 0.60
  5. 0.69
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国試での出題(年度別)

この科目はデータのある年度で計 90 問。番号をタップで問題へ。解いた記録は緑/赤の枠で残り、右上の青点は解説ありです。

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